チェコ・イタリアコンサートツアー2010

〜チェコ、イタリアでの1週間にわたるコンサートレポート〜

2010年6月25日〜29日
⇒チェコ編はこちら
2.SIX WAYS トリノギターフェスティバル(音楽監督はジョルジョ・ミルト)
 もう今年で10年続いているそうだ。初回は日本から福田進一先生が演奏したそうだ。毎年、6組のゲストが出演、週替わりで演奏する。今年は第2週目が私、最後の週には山下和仁カルテットが出演する。観客の大半はギターを弾かない一般の音楽愛好家だが、毎年様々なゲストが同じ会場で演奏するため、ギター音楽には詳しいそうだ。
6月26日 トリノへ
車窓からの眺め
車窓からの眺め
 パリから列車でトリノへ向かった。1時間半遅れて列車が出発し、トリノに着いたのは夜10時半頃だった。パリのリオン駅では、発車の5分くらい前にならないとプラットホーム番号が表示されない。表示されると、乗車を待っていた人々は、いっせいにプラットホームへと走る走る。「23番ホームだって」とスペイン語が聞えてきて、その人達に着いていった。フランス語よりスペイン語の方がわかるんです。列車の中では、遅延の場合に運賃の20〜25パーセントが戻って来るように手続きする為の申請書を、車掌さんが配り始めた。それから約5時間半の列車の旅。車窓からは山々が美しかった。
 さて、到着したトリノのポルタ・スーザという駅は、地元のイタリア人もあまり利用しない駅で複雑な作りだった。主要駅は二つあるそうで、こちらは長距離列車が発着する駅らしい。迎えにきているはずの音楽監督ジョルジョ・ミルトになかなか会えなかった。互いに初対面なので、メールで「今日はオレンジ色の服を着ています、見つけてくださいね」と伝えておいたのに、それ以前に出口を見つけられなかった。一緒に下車したイタリア人が「出口はどっちなの?」と私に聞くものだから、「私だってわかんない〜!」と、何人ものでしばら〜く右往左往していた。
 すると「サチコ!」と、言う声が聞こえ振り返った。「ああ、ジョルジョなの?会えてよかった!!」「視界をオレンジ色が横切ったので、走って追いかけてきたよ」と。奇跡的に見つけられて、私は無事にホテルに連れて行ってもらった。その日は、二人でピザを食べながら乾杯し、自己紹介がてら遅くまで話した。さあ、翌日から3日連続コンサートの始まり。ジョルジョ所有の横尾ギター・グラーヴェを借りて演奏する。最高級の材料で良いギターだ。
6月27日 ブラ BRA 開演21時
1日目演奏会場
1日目演奏会場
 トリノ市郊外の町、ブラ。開演21時。野外でのコンサートが予定されていたが、すぐ近くで野外シネマのイベントが開かれることになっていて、私のコンサートの時間帯と少し重なるという。そこで、コンサートの世話役の人が勝手に演奏会場を屋内に変更してしまった。さすが、イタリア人だな〜と感心したと同時に、一体誰がどうやって、会場が変更になったことをお客さんに通知するというのか。
 ジョルジョが「こんな話は今はじめて聞いたんだ!」と怒ってしまい、「なんとかしてアナウンスして観客を動員してくる!」と出かけていった。開演15分前になっても、会場はし〜〜ん。ああ、今日はあと2回のコンサートのリハーサルのつもりで弾こう、誰もいない会場で・・・と諦めていたら、続々とお客さんが集まり始めて、開演は少し押し気味だったが、まあ、悪くない人数で埋まった。
100人くらい?1曲弾き終わった時から、異常にお客さんが喜んで下さって、着席したが再度立ち上がってお辞儀で応えた。それからは、もうこちらも気分が良くなって、最後まで気持ちよく演奏できた。ブローウェルのソナタも随分喜ばれた。CDも売れて大成功だったね、とジョルジョも上機嫌。終わりよければ全て良し、かな。
ブラ
ブラ
協力者の地元のギタリストと食事にでかけた。会場を突然変更したイタリア人はこの中にいない。念のため。
音楽監督ジョルジョ・ミルト 打ち上げ お世話になったギタリスト達 横尾ギターを試すギタリスト
音楽監督
ジョルジョ・ミルト
打ち上げ お世話になった
ギタリスト達
横尾ギターを試す
ギタリスト
6月28日 グルーグリアスコ GRUGLIASCO 開演21時
 演奏会場があるグルーグリアスコ(GRUGLIASCO)は、高速道路を通ってトリノから車で約45分。昼食はジョルジョの自宅でご馳走になった。イタリアの観客は、単にすごいテクニックで間違わないで弾いたとしても喜ばない、という話を始めた。面白くなければ、はっきり態度で示すと。イタリアで成功するには、退屈させない心に届く演奏をするしかない。
2日目演奏会場
2日目演奏会場
 この日は前座がいた。学生達によるギターアンサンブル、ボッケリーニの序奏とファンダンゴやバロックの作品を演奏。ものすごい暑さ。30度くらい。
 あまりの暑さでドレスが汗でどっと重たくなっていた。暑さでぼーっとしたのか1曲飛ばしてしまった。CDを買ってくれたお客さんに指摘されて始めて気付いた。そのお客さんはシュタイドルのCDも持っているそうで、「ヴィルトゥオーゾ」を買ってくれた。ここも概ねコンサートは成功。ギター教師達と打ち上げのテーブルを囲んだ。後ろ側は聴きに来た学生達のテーブルで、記念撮影を頼まれた。感想を伝えに私のテーブルに来てくれて、大変楽しんでくれたようだった。
2日目のコンサート
2日目のコンサート
開演を待つ
開演を待つ
聴きに来た学生達と
聴きに来た学生達と
地元のギター教師達と
地元のギター教師達と
 6月29日 最終日 トリノ TORINO 開演21時
3日目演奏会場
3日目演奏会場
 連日の演奏と夜更けまで続く打ち上げで、腕が少々疲れ気味で睡眠不足だった。夜9時開演のコンサートまで毎日どのように過ごしていたかといえば、ホテルの部屋の清掃は断り午前中一杯は練習、1時半頃昼食、3時頃から少し昼寝、4時から再び練習、5時半頃からメイクアップと髪をセット、着替える。クロワッサンを1個食べ6時過ぎにホテルを出発。しかし、この日は、午前も午後も練習をやめて、手を休め、身体も休めた。
 昼から街の中心へ出かけ昼食をとりジェラートを食べ、ブティックのショーウィンドウを眺め、有名な建造物のあたりを散歩し、午後3時頃ホテルに戻った。30度以上あり暑くて疲れてしまった。少しベッドで休み、またクロワッサンを食べ、出発。トリノ市を一望できる丘を車で登っていくと素晴らしい教会にたどり着いた。バジリカ・ディ・スペルガ。トリノで最も重要な建築だそうだ。
 前座は、学生のソロでブローウェルの舞踏礼賛だった。なかなか良い演奏だった。良い雰囲気の中、私の出番。素晴らしい教会の響きと、最終日だからこそという気合と集中力と、素晴らしい反応の観客と良い条件が重なり、3日間で、というか、自分の過去の演奏会の中でも一番良い演奏ができたと思った。CDも一番沢山売れた。私が使用した楽器をオーダしたいと言う人も現れた。
本番直前
本番直前
ほうれん草のニョッキ
ほうれん草のニョッキ
子豚のロースト
子豚のロースト
終演後は

PAセッティングで毎日お世話になった
エンジニアも加わり、ご苦労さん会
レストランのコース料理は大変美味しかった

イタリア人でも
「多い、多い」といって食べていた
赤ワインの味も最高でした
フォト集
ジョルジョと
ジョルジョと
お世話になったリコと
お世話になったリコと
ショウウィンドウ トリノのテアトロ
トリノ中心地 トリノ中心地
トリノ市街 市場
お世話になった皆様、ありがとうございました。
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