2005年4月演奏旅行記

2005年4月27日〜30日

4月27日(水) : 浜松研修交流センター 音楽工房ホール
4月29日(金) : テクノ交流館 リコッティ(茨城県)
4月30日(土) : アコラ(茨城県)
第1回 浜松編(渋谷環さんとのジョイントコンサート)
【演奏会について】
 ステージに上がって客席を見渡したとき、ああ、なんて温かい眼差しなのだろう、と感じた。初めてお会いする方々なのに、会場の空気が私をふわっと包み込んでくれた。思わず、スペイン語で「こんばんわ」。笑い声。やはりわかってくれた。演奏するときはいつも、ステージに出て行くまで、どんな空気が自分を待っているか、少し不安なものだ。だが、そんな心配もいっぺんに吹き飛んだ。客席がつくる空気が私に伝わり、私が演奏で自分の気持ちを伝える。そしてまた、客席から返事が返ってくる。特に、浜松の方々はコンサートに「参加する」ことに慣れている「スペシャリスト」だと思った。さすが、会員制の会だな、と感心。私自身、本当に楽しんだ音楽会だった。一緒に演奏した環さんも同じ気持ちだったことは、隣にいてよくわかっている。

渋谷環さんとの二重奏


【「うなぎ」、そして「楽器」、、、浜松から連想するもの】

 学生時代から地理に弱かった私の頭に真っ先に思い浮かぶものだ。他にも素晴らしいものがあるのでしょうが、これしか思い浮かばない私を浜松の皆さん、許してください。滞在中、十分にこの2つを堪能することができたことをお話したい。私が使用したのは1936年製のヘルマン・ハウザー1世。(浜松ギター鑑賞友の会のHPを見てください。リハーサル時に私と渋谷環さんの楽器を並べてばっちり写真を撮っていたなんて、、、知らなかった。皆さんの楽器に対する関心の高さの表れではありませんか。)
 ハウザーでチューニングした音を聞いただけで、その音色に敏感に反応して下さった方がいらして、こちらも使用した甲斐があったというもの。さらに、友の会代表の江崎氏の最新作の素晴らしい楽器を試奏する機会を得たし、楽器博物館に勤務なさっていた佐藤氏の貴重なお話も聞けた(なぜ、ギターにフレットは存在するんだろうか、というお題で)。

 打ち上げの席でも楽器の話が絶えない、絶えない。会員制のコンサートを運営していけるということ自体、楽器好き、ギター好きの人口密度が高い証拠。やはり楽器の街だ。



【「うなぎ」について】

 札幌のラーメン店ほどではないけれど、やはりうなぎの専門店の数は他の街より多いみたい。浜松のうなぎは焼いたあと、蒸すそうだ。だから食感がふわっとしている。たれの味は店によって様々だが、私がごちそうになったお店のたれは甘め、ということだった(お店は「新角」だったかな)。どんぶりいっぱいにのったうなぎは、札幌でいただくものよりはるかに大きい。自然とご飯の量も多くなり、一人前をきれいに食べるとお腹がはちきれそうだ。翌日、浜松からの帰り、新幹線に飛び乗る前に買ったのは、やっぱりうなぎの蒲焼弁当。2日続けてうなぎを食べたんだから、この後のコンサートも頑張らないと!との思いで、茨城県へ向かった。
第2回 茨城編
 上野駅から「いわき行き」の「スーパーひたち」に乗ること1時間余り。水戸の偕楽園のふちを列車が走る。やがて勝田という駅に到着した。もうライラック(リラ)が咲き始めているではありませんか。思わず昼寝でもしたくなるような、あたたかな風、気持ちがいい。翌日はここから車で20分ほどの東海村でコンサートだ。だーれも私を知る人がいない茨城県で果たしてお客さんは集まるのだろうか。。

【4月29日】
   快晴。リコッティという多目的施設内のホールでのコンサート。
 
 お話をしながら進める肩のこらない演奏会で、本格的リサイタルというような重たいプログラムではない。いざステージに上がると、浜松に続いてまたなんだかなごやかな雰囲気だ。
 私の話に対しても反応が早い。「こちらは桜が満開ですね。北海道はまだストーブつけているんです。同じ日本なのにこれほど違うものなのですね。」場内がざわざわっとした。驚きと笑い。 「冬のソナタ」の曲を演奏した後、「実は一度も見たことがないのにしみじみと演奏し、大変申し訳なくおもいます。。」と詫びると笑っている。元気の良い曲を演奏後、声を上げてくださるノリの良い方もいらっしゃった。
  写真をご覧になって頂ければおわかりでしょうが、沢山の方々でしょ!
終演後は浜松で初めて体験した「CD販売 アンド サイン会」をまたまたやってしまった。
CDに収録されている曲は1曲しか弾かなかったのだけれど、
沢山の方がCDを買って下さった。「はじめまして」と、つい口から出た。
【4月30日】
   アコラ(上質の音楽を少人数で楽しむ会)でのコンサート。

素晴らしく素敵なサロン(ご覧あれ!)をお持ちのK氏、そのご家族に大変お世話になった。

 すぐ目の前に1列目のお客さんがいる。でも、演奏会続きだったせいか、大分リラックスできた。スペイン演奏旅行のお話を交えての演奏会で、お話を演奏と同じくらい熱心に聴いて下さる。演奏後の反応が返ってくるのが速い。むむ、もしやこの方たちも、浜松同様、演奏会慣れしている”つう”ではありませんか?
 終演後、S氏の進行のもと、お茶を飲みながらお客さんとの交流会があり、質問を受けたり感想をお聞きしたり楽しい時間だった。忘れられないのは「官能的だった」というご感想。私には縁のない言葉だと思っていたので、「うふっ」とほくそ笑んでしまった
 また、意外と北海道にゆかりのある方っていらっしゃるものなのだ、とわかった。高校や大学の先輩までいたりして。しかもご実家がお近くだったりして。うーん、日本ってせまいなあ。いずれにしても、茨城の皆様、本当に温かく私を受け入れてくださり、ありがとうございました。 
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