|
・この道: 山田耕筰〜佐藤弘和・編曲
・さくらの主題による変奏曲: 横尾幸弘
・新12の歌: 壺井一歩・編曲
アメージング・グレイス(スコットランド民謡)
おぼろ月夜(岡野貞一)
城ヶ島の雨(梁田 貞)
竹田の子守歌(京都民謡)
五木の子守歌(熊本民謡)
グリーンスリーブス(イギリス民謡)
すみれの花咲く頃(F.デーレ)
I Loves You,Porgy(ガーシュウイン)
みどりのそよ風(草野 信)
ペチカ(山田耕筰)
仰げば尊し(スコットランド民謡)
この道(山田耕筰) |
REVIEW |
◆レコード芸術 2018年11月号 |
|
壷井一歩(新12の歌)は、日本と世界のポピュラー・ソングのギター編曲集。ほとんどそのままの旋律が出てくる曲が多いが、かなり凝った作曲もある。宮下祥子はきれいな音で心のこもった歌を奏でる。<五木の子守唄>は慈しむように歌って美しい。間奏は旋律が切れたり繋がったりで面白い。<城ヶ島の雨>の前奏曲は嵐のような心象風景を描いて秀逸。すみれの花咲く頃>は全体の1/3の長さの前奏の後に、ようやく宝塚の曲だとわかる。<この道>はバッハの<主よ人の望の喜びよ>のような前奏と後奏が付く。(横原氏)
|
|
◆レコード芸術 2010年6月号(123ページ)⇒準特選盤 |
|
かなり年輪を重ねたものの、まだ「若い力」の代表格だと言えるギタリスト、宮下祥子の活躍が、実演、CD録音の双方を通じて目ざましい。2009年10月の録音であるこの1枚は、新進作曲家かつ編曲家、壺井一歩との共同作業ともいえる内容を持つもの。 (中間部、省略)
アレンジのしかたはさまざまで、原旋律を素直に生かしたものもあれば、かなりデフォルメしたり創意を取り込んだり、いわば「・・・の旋律による幻想曲」といった体裁をなすものまで多彩である。 (中間部、省略)
ただ全体を通じて言えるのは、ギターの持つ抒情性、詩趣を生かすいっぽう、常套的手法には陥らず凡庸ではない芸術作品が揃っていること。
|
|
(濱田滋郎 評) |
|
◆CDジャーナル 2010年6月号(171ページ) |
|
「美しく響きを整え、ゆったりとした間合いでよく知られたメロディーに想いをのせていく。静かな昼下がり、窓辺に差す陽光が作る柔らかな光と影。その風物を見つめて物思うような時間がココロに心地よい。原曲のイメージから少しだけ逸脱して遊ぶ編曲もいい。」 |
|
◆現代ギター4月号 新譜案内 P79(2010年4月号 No.551) |
難しい編曲を自らの言葉として歌わせる
|
|
宮下3枚目となるアルバム。このアルバムの中心となるのは、気鋭の作曲家・壺井一歩による<新12の歌>。武満徹編の<12の歌>に倣い、ポピュラーなメロディーに独自の編曲を施した12曲である。ギターの機能的な制約にとらわれない自由な発想は、武満が拓いたギターの新しい世界を踏襲しつつ、さらに拡げたものとも言えるだろうか。一部の曲は楽譜が雑誌に発表されており、それらを見るにつけても、高度な音楽性と同時に高い技巧が要求されることがよくわかる。宮下はこれらの編曲を完全に自分のものとして消化した上で、自らの言葉として旋律を歌わせる。複雑に絡み合う音の中にあっても、常に旋律は自発的な歌として奏でられているのである。そのことこそが宮下のGift(才能)と言えるだろう。前2作のCDもそれぞれ評価
の高いものだったが、そろそろ真価が問われる3枚目。<この道>で始まり<この道>で締めくくる構成に、宮下のこれからの決意が示されているようだ。 |
|
(woodnote) |
|