こまつ座 第九十一回公演

『水の手紙』 『少年口伝隊一九四五』


作:井上ひさし  演出:栗山民也
ギター:宮下祥子 
2010年 11月12日 (金) 〜 11月21日 (日)
新宿南口・紀伊国屋サザンシアター(新宿南口)

この文書はブログに投稿されたものをまとめて掲載しております(管理人)。
2010年11月04日(木)  今日から稽古
 皆様、おはようございます。東京は朝から寒く、暖房をいれました。今日から稽古に参加します。稽古場は新国立劇場です。私にとっては行きなれた場所で助かります。今日から稽古が始まりました。今、女優さん、俳優さんとして活躍している皆さんですが、かつて新国立劇場の研修生でいらした頃に一緒に演じた方たちです(何人かは初めてお目にかかる方です)。一段と美しくなっていました。男性陣はたくましく。
  「水の手紙」にヴィオラ演奏でご出演の徳高真奈美さんにも初めてお目にかかりました。今日からずっと舞台のことだけを考えることが許されて、そのことだけに集中してよい、という日々が続くことが本当に幸せです。
 台本は私の希望で一度に4ページ分を見開きで見えるようなサイズに作ってもらいました。音のきっかけを沢山書き込んであります。が、今日も変更があると聞いています。台本には広島の地図もはさんであります。地理的なイメージがあると芝居の全体像が見えるんです。これからまずは部屋で練習します。
2010年11月05日(金)  弦楽器フェア
 皆様、おはようございます。午前中、稽古に行く前に科学技術館で開催されている弦楽器フェアに行ってきました。

 一番の目的は写真の方に会うため。フランス弦メーカーのサバレス社のマイヨ社長。

 サバレス社のブースを訪ねたら、クレハ合繊の部長さんとグループリーダーのお二人が談話中で一度にちょうど皆さんにお会いできました。

 クレハ合繊さんは弦の原材料をサバレス社に提供しており私の活動もサポートして下さっております。大変有難い存在です。今日は初日で人出は明日にかけて増えていくようです。昨年は私が出展楽器の試奏コンサートに出演しました。
 その時演奏した楽器をお作りになった製作家の皆さんにも再会しました。

 その中でもこのイベントを支えていらっしゃるお二人はこの方達。今井勇一さんと黒澤澄雄さん。黒澤さんには私が東京で初めてリサイタルをした頃から毎回演奏会に来ていただきました。今井さんにはヨーロッパで随分沢山の人達をご紹介して頂きました。マイヨ社長もその一人。皆さんに助けて頂いています。
2010年11月05日(金)  稽古2日目
 今日の通し稽古は大変良かったです。これまで3年この舞台をやってきた中で一番よかったかもしれません。私がいうのもおこがましいですが、後ろで役者の皆さんの調子をじっくり聞いているので私が一番客観的に様子が見えているんじゃないかな。

 左端の写真は稽古場です。この舞台をごらんになったことがある方はおわかりだと思いますが、手前にあるのはヒロシマの模型です。この模型の後ろに12個のいすが並んでいます。さらにその後ろに一段高い台の上に私が乗ります。

 今回、一緒に上演される「水の手紙」の歌を練習しているところ。ヴィオラを演奏なさっているのは徳高真奈美さん。右がヴィオラの徳高さんです
今日は、ゲストトークにご出演の女優の熊谷真実さんが稽古場にいらっしゃいました。黙阿弥オペラも拝見しましたがこの体からすごいパワーがあふれてくるんですね。ツーショット撮らせて頂きました。が、私の携帯の中に大事にしまっておきます。
2010年11月07日(日)  本稽古始まりました
 演出の栗山民也さんがいらして衣装もつけて本稽古が始まりました。まずは関係者の顔合わせがありました。こまつ座の代表からご挨拶があり、すべてのスタッフが紹介されました。 
 栗山さんがいらして通し稽古をすると一層気持が引き締まります。今日は演劇研修所の5期生や6期生も見学に来ていたようです。何度舞台をふんでもやり慣れるということってないもんですね。毎回、時間の流れ方が違いますしまた、時間の過ぎる速度の感覚も違います。呼吸も間合いも、すべてが一回ずつ、そのときにだけしかあり得ない瞬間が次々と生まれ舞台が進行していきます。その流れを敏感に察知しなくてはなりません。集中力が試されます。
2010年11月08日(月)  取材
 某新聞社の記者さんから取材を受けました。初演から関わっているからのようです。(掲載日がきまりましたらお知らせいたします)そのいきさつなどお話ししました。


その記者さんはこれまでに口伝隊(くでんたい)の舞台を見て下さった方で、ギターを弾いているときと取材で会った私の印象が随分違う、ということをおっしゃっていました。つまり口伝隊の舞台での私は男らしく凛々しいらしいです。演奏も力強い、と他の方に言われました。
 取材の後で、ヘアメイクの前田さんに前髪を切っていただきました。舞台でいったんギターを弾き始めるとばさっと前髪が顔に覆いかぶさってきても手で髪をかきあげる、というような動作はできません。そこで、少し短めにしてもらいました。微動だにしない、というのが大事なんです。演出にそう言われたわけではありませんが、自分でそうしています。演奏以外の時間、観客の注意をひくようなことは一切してはいけないのです。その存在を感じさせないように後ろにひっそりと座っているのでなければ。
2010年11月09日(火)  ゲネプロ間近
 12日から紀伊国屋サザンシアターで上演される「水の手紙」「少年口伝隊一九四五」の稽古は大詰めを迎えました。今日の稽古では役者さんの朗読にもだいぶ緩急がついてきて音楽は少し調整が必要になってきました。「水の手紙」の音楽は久米大作さんが作曲です。一か所にとどまることなく常に流れ続ける「水」にぴったりの音楽です。歌も素敵です。こちらもどうぞお楽しみに。徳高さんのヴィオラも素敵です。今日は早く稽古が終わりましたので部屋に戻って自炊しました。外食に飽きてしまったんです。明後日はいよいよ劇場入りです。ゲネプロです。精神的にも身体的にも最終調整します。明日はオフなので貴重な一日をこの調整にうまく使おうと思います。
2010年11月10日(水)
CD 「ヴィルトゥオーゾ」

 これは2007年の暮れに発売されました。この1曲目にフェルナンド・ソル作曲の「悲歌風幻想曲」 が収録されています。12日から上演の朗読劇にはこの「悲歌風幻想曲」を使用します。井上ひさし先生からの指定曲です。音楽監督は後藤浩明さん。この曲の中の要素をうまくつかって音楽をつくりました。このCDをお聞きになった井上ひさし先生からお電話を頂き、今の朗読劇のお話を戴きました。そのお電話のむこうで私の演奏する「悲歌風〜」が聞こえていました。紀伊国屋サザンシアターの会場でも販売されます。フェルナンド・ソルはもっとも好きな作曲家です。自分の音楽作りに対する想像力が一番発揮されるのは19世紀の音楽です。(現代曲もですが)来年のリサイタルではソルの作品を含め19世紀の音楽を入れることに決めています。

唯一のオフ

 今日は当初の予定では稽古日でしたが思いがけなくオフになりましたので朝から洗濯をし練習をしました。夕方に散歩がてら表参道に行きましたら巨大ツリーが街角に飾られていました。ステージに使えそうな服を見つけ買ってしまいました。ふらっと歩いているといつも気に入った洋服を見つけます。これから自炊してまた練習します。
2010年11月11日(木)  劇場入り
劇場入り
 いよいよ今日から劇場入りしました。楽屋には戴いたお花を飾りこれから10日間目を楽しませて頂きます。

楽屋ののれん
 ああ、いよいよ始まるんだという気持になります。こういうのは音楽のコンサートにはお目見えしないアイテムなので、新鮮ですそして、これも。


ゲネプロ終了
 楽屋弁当です。今日から毎晩、この楽屋弁当にお世話になります。紀伊国屋サザンシアターこれまでの劇場と随分舞台空間の感覚が違っていました。 コンパクト。

 ゲネプロ終わって帰ると夜10時半でした。私はまだ劇場から近いほうだから良いほうです。へとへとです。ばたんキューです。今日は早く寝ます。そうそう、新国立劇場で演じていた時と衣装が変わりました。どうぞお楽しみに。明日の初日、前売り券完売のようです。井上ひさし先生、観ていて下さい。
2010年11月12日(金)
(写真左) 紀伊国屋サザンシアター

この最上階が紀伊国屋サザンシアターです。



(写真右) ロビー

物品販売コーナーでは私のCDも販売されます。
2010年11月13日(土)  初日・終了!
  初日無事に、終わりました。ご来場下さいました皆様、ありがとうございました。ロビーに飾られた井上先生のにこやかなお写真。初日のゲストはすまけい さん。ひときわ大きな拍手がおこりました。

 初日の打ち上げがありました。いつも井上先生が皆さんを連れて行って下さっていた長春館という焼肉屋さんです。以下、今回の舞台でご一緒した皆さんとの記念写真、お地蔵さんみたいなカッコですが、公開します。
ちゃんと電車が動いているうちに退散しました。翌日13日は昼・夜・の2公演です。
演出の栗山民也さん 音楽監督の後藤浩明さん。音楽の良き理解者として助けて頂きました 「水の手紙」の音楽を作曲なさった久米大作さん。著名なミュージシャンですからご説明する必要ありませんよね。 今日のもう一つの主役おいしい、という顔をしてくれた吉田紗和子さん(左)と熊坂理恵子さん。う〜ん、さすが女優です! 口伝隊に出演した米川貴久さん(左)と香原稔彦さん
2010年11月13日(土)  産経エクスプレスに載りました
 本日発行のSANKEI EXPRESS の10ページに載りました。写真つきです。どうぞご覧下さいませ。女性ゲストの方々と同じ楽屋なのです。著名な方々と同室でもっと緊張するかと思ったけれど意外とリラックスできました。ツーショットもお願いしてしまいました。今、昼公演が終わりました。これから夜公演まで休憩します。
2010年11月15日(月)  満員御礼
昨日は大入り袋が出ました。満員御礼です。楽屋は熊谷真実さんとご一緒でした。熊谷さんに竹下景子さんから高級なお稲荷さんの差し入れが届きました。熊谷さんはお皿にいくつか取り分けて私と徳高さんにわざわざもってきて下さいました。ありがとうございます。楽屋には渡辺いっけいさんもいらしていました。また、出演者の一人と舞台監督がお誕生日を迎えたということで終演後にサプライズのお祝いをしました。私と徳高さんでハッピーバースデイを弾いてみんなで歌いました。今日のゲストはミュージカル界のプリンスです。夜公演なので日中は自分の練習をします。
2010年11月16日(火)  今日からダブル公演続き
 今日の東京は昨日の雨模様から一転して良いお天気です。公演5日目。楽屋生活にもだいぶ慣れてきました。今日から3日間14時と19時のダブル公演です。体力勝負。劇場へ行く途中高島屋をスルーしますと店内はクリスマス商戦一色で購買欲を駆り立てています。あれもほしい、これもほしいとつい、のせられそうになりますがそこはぐっと気持を引き締めて劇場へ向かいます。 
 今日のゲストは昼公演 石原さとみさん、夜公演小曽根真さん&神野三鈴さん。昨日のゲストは井上芳雄さん。井上先生への手紙では、芳雄さんの歌が聴けて感激しました。女性のお客様が多く、ロビーで「出待ち」するファンの方が沢山いらっしゃいました。今日は音楽家・小曽根真さんの登場で音楽に興味のあるお客様が沢山いらっしゃるかもしれませんね。
 私のCD販売コーナーには書かれていませんが、私が劇中で演奏している曲はフェルナンド・ソル作曲の「悲歌風幻想曲作品59番」です。ソル晩年の傑作です。ソルの愛弟子が亡くなった時に追悼の意で作曲されました。「シャルロット、さようなら!」と終結部の五線の下に書かれています。劇中にはこのシャルロット・ベスレー夫人への葬送行進曲も使用しています。今日もがんばります。
2010年11月17日(水)  高島屋
 今日も無事に公演終わりました。私の胃袋を満たしてくれているのは高島屋の地下食料品売り場です。今日の晩御飯は昼から予約を入れておいたお弁当を食べました。美味しそうなものが沢山並んでいます。豚キムチ麺というのを温めてもらって楽屋に持ち帰りました。帰宅してからも腹ペコでまた夜食を食べます。一日4食。不思議に体重は減り気味です。ゲストの高畑さんから戴いたプリンが鞄に入っていますので帰宅したらいただきます。
2010年11月19日(金)  今日はアルカンヘルはお休み
 アルカンヘルの弦がバテました。朗読劇の舞台ではチューニングをすることができません。新しい弦に張り替えた翌日に使うのは難しいです。今日は一日楽器を休ませました。代わりにベラスケスで弾きました。音響さんからはぬくもりのある温かな音でなかなか良かった、と言われました。演出助手さんからはアルカンヘルの方がエッジが立っていてはっきりしていて良い、と言われました。 今日は製作家の今井勇一さんが観に来て下さいました。演劇の場合、聴きにくる、ではなく観に来る、ですよね。明日は昼公演のみです。アルカンヘル復活しますよ。アルカンヘルといえば、12月23日はクロサワ楽器本店でマドリッドフェアがあり私の演奏会が13時からあります。勿論、アルカンヘルを使います。入場無料です。要予約です。詳しくはクロサワ楽器のサイトか雑誌の広告をご覧下さいませ。
2010年11月19日(金)  公演日でも家事はやっている!
 おはようございます。タンザニアに教師として派遣されている私の生徒さんHiroto君のブログを見ました。私がオフの日に朝から洗濯している記事を見てバケツでせっせと衣類を洗っている私を想像して笑ったそうです。そんなわけないじゃん、タンザニアとは違ってここは利便性を極度に優先・追求する日本!ですので、もちろん、バケツではなく洗濯機で洗濯しています。イタリアのシエナに1カ月滞在したときはアパート住人はみんなバケツで手洗いしていましたけど。
 オフじゃなくても毎日帰宅したら夜ですが洗濯しています。お風呂場の乾燥ボタンを押して寝れば朝には乾いているんですよね。便利だな〜〜朝は結構早起きして部屋の掃除をして朝ごはんを作って練習して出かけています。これって、別に普通の人の生活ですよね。私がやっていると書くと「へえ〜、宮下さんでもそういうことやってるんだ〜」というか「そいうこと、できるんだ〜・・・」とお思いになる方がいらっしゃるのでしょうか・・・アルカンヘルに張った弦も落ち着いたみたいなので今日もうまいこといけそうです
2010年11月20日(土)  明日、千秋楽
 本日もご来場下さった皆様、ありがとうございました。今日はこれまでで一番自由に演奏できました。緊張の度合いは変わりませんが表現の仕方に集中できました。演じた皆さんも大変良かったと思いました。楽屋に訪ねてきて下さった方々、ありがとうございます。今日のゲストとツーショット写真をこまつ座さんに撮って頂きました。あまりにも緊張して顔がこわばってしまいました。どなたがゲストだったかはこまつ座のサイトで調べて下さい。やっぱりすっごくカッコ良かった!!です。ゲストトークの井上先生へのラブレターは短めの手紙でしたが井上先生への気持ちが十分に伝わるものでした。 
 さて、明日はいよいよ千秋楽。一日一日必死にやってきました。最後の日ってやってくるんですね。大竹しのぶさんに会えます。ご来場の皆様もどうぞお楽しみに!山形公演が23日にあるので実際にはまだ終わりません。皆さん、私が舞台で演奏しているフェルナンド・ソルの悲歌風幻想曲覚えて下さいね。ソルの名前も。私のCD ヴィルトゥオーゾに収録されています。
2010年11月21日(日)  東京公演終了!お疲れ様!
 無事に千秋楽を終えました。ご来場頂きました皆様、ありがとうございました。出演の皆さん、スタッフ、関係者の皆様、大変お疲れ様でした!今日のゲスト大竹しのぶさんのお話に感動しました。私まで涙が溢れてきました。楽屋でお話もできました。素敵な方でした。12日から今日まで本当に沢山のお客様に観ていただきました。9日間に15公演というのはギターのコンサートでは経験がありません。大変な仕事でした。まだ明後日、山形公演が控えていますので終わってはいませんがひとまずは東京公演の成功を喜び身体の疲れをとりたいです。明日はオフですがちょっとギターを演奏します。来日中のハウザーさんにお会いします。
2010年11月22日(月)  今日はオフ ハウザーさんに会いました
 今日は公演始まって以来のオフでした。かなり疲れがたまっていましたが、リフレッシュしています。お昼には来日中のヘルマン・ハウザー(3世)さんにお会いしました。お嬢さんのカトリーヌ・ハウザーさんもご一緒です。私が以前、ハウザー1世を使っていたことをお話ししました。ヘッドにレリーフが施された特殊なデザインの楽器でしたが、見たことがあるとおっしゃっていてなぜその楽器で録音しておかなかったんだ!と言われました。
 確かに素晴らしい楽器でした。今思えば、そうしておけばよかったかな、と思います。楽しいひと時でした。
 今月、こまつ座の公演中にも沢山の方との新しい出会いがありましたが、今日のハウザー親子との出会いも貴重なものでした。
2010年11月23日(火)  山形 川西町フレンドリープラザ公演
 川西町フレンドリープラザにおける、こまつ座公演鳴りやまない拍手を頂きカーテンコールにちょっと遅れて出ていきました。皆様、ご来場ありがとうございました。ホール内にトンボが入り込んでとんでいたそうです。井上ひさし先生が見にきたのかな、と話していました。公演が終わると直ちに新幹線にのりビールで乾杯しました。これだけの期間共に舞台を作ると連帯感が生まれます。スタッフの皆さんともキャストの皆さんとも本当に皆で頑張ってきたという互いをねぎらう気持ちで一杯になりました。長かったけれどあっという間の16公演本当に終わったんだ、今は満たされた気持ちと何も考えたくない程の身体と脳みその疲労感に襲われています。そういいながら洗濯していますが・・長い20日間が終わりました。
コンサート情報
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