PHOTO/T.Shigeru(北海道新聞社)
宮下祥子ギターリサイタル(札幌)

〜名器で弾く2つのギター協奏曲〜
北海道新聞掲載(2005年1月21日(金)夕刊)

北海道新聞の「季評・音楽」のコラムに掲載されました。一部抜粋して掲載しています。

図をクリック!  セゴビア国際ギターコンクール(スペイン)の入賞歴を持つ宮下祥子は、音色の異なる二台のギターを用いて意欲的なリサイタル(十月二十八日、キタラ小ホール=写真)。定番のスペインものから現代曲まで多彩な曲目のうち、キューバの現代作曲家ブローウェルの「ソナタ」で技量が最も光った。トッカータの正確無比な速弾きは、特注ギターの澄明な音色を伴って精彩を放ち、湿りのないライトな感覚それ自体も現代ギターの潮流に属する。十一月にはスペインを楽旅した経験が、今後の表現に彩りを加えることだろう。
                             (三浦洋氏の本文抜粋)

北海道新聞社許諾 D0507S127T0504-’05.07.31
現代ギター2月号(No.483 Febrary 2005)掲載

 10月28日、札幌コンサートホールKitaraにおいて「名器で弾く2つのギター協奏曲」と題された宮下祥子のギターリサイタルが行われた(主催:札幌市民芸術祭実行委員会・札幌市・札幌市芸術文化財団)。
 2002年のアンドレス・セゴビアコンクール入賞以来、全国そしてヨーロッパ各地で精力的に演奏活動を続けている宮下であるが、当夜は宮下自身にとって初演となる2つの協奏曲に加えてソロ演奏を併せた意欲的なプログラムであった。地元となる札幌での活動歴は長く、すでに多くのファンをもつ宮下であるが、近年は多忙な演奏活動の傍らで教室における個別指導、自ら指揮を務めるギターアンサンブルの指導など八面六臂の活躍である。このリサイタルの後にはヨーロッパへ場を移してツアーを展開する予定であり、そのエネルギーには脱帽するばかりである。

 当夜の演奏曲目は順に次の通り。協奏曲におけるピアノ伴奏はいずれも石橋克史が務めた。
  <前半>アラビア風奇想曲、ムーア風舞曲(以上タレガ)、セビリア風幻想曲(トゥリーナ)、
        アランフェス協奏曲(ロドリーゴ)
  <後半>ソナタ全楽章(ブローウェル)、南の協奏曲(ポンセ)

 ソロ演奏およびアランフェスでは2003年作アルカンフェル・フェルナンデスを使用。宮下は2002年に初来日したアルカンフェルと出会い、その後スペインで再会を得た折に幸運にも宮下自身に併せた楽器の製作を依頼することが出来たという。艶やかで遠達性に優れたその音色は、コンサートホールの素晴らしい音響の中で美しく響き渡った。南の協奏曲に使用した楽器はハウザー1世による1936年制作のもの。当時セゴビアがこの協奏曲を初演した際に使用した楽器もハウザー1世といわれており、宮下自身もその当時に制作されたハウザーで自分自身にとっての初演を試みたと思われる。ピアノとのバランスは予め入念に検討を重ねたらしく、大入りの会場の後方においても非常に分離よく聴き取ることが出来た。前後半それぞれで華やかにドレスを替えるなど、女性らしい優雅な振舞い、そしてリラックスした雰囲気を感じさせながらも確かな技巧で堂々とした演奏を表現し、来場者が皆満足した様子であった。

 アンコールはギターソロで、
   桜の主題による変奏曲(横尾幸弘)、アルハンブラ宮殿の想い出(タレガ)の二曲。

会場の受付に溢れんばかり届いた花たちが、
当夜そしてこれからの宮下祥子を祝福しているようであった。
…….あまりに多くの花が届いて、車2台に満載してようやく運び終えた、
と後日耳にしました。
                                                 (岡田純一)
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